私は夫と二人で都心のアパートで7年間暮らしていました。そのアパートは2階建て木造パネル造りで、私達は2階に住んでいたのです。結婚して7年目にしてやっと子供ができたのですが、その子供が2歳になる頃に階下に新しい住人が引っ越してきました。
2ケ月位は特に変わった様子がなかったのですが、ある日子供と部屋にいると、どうも床の下からドンドン!という音がするのに気が付きました。最初は何か作業でもしているのかと思い気にも止めていませんでしたが、何度もドンドン!としてくるので不思議に思いました。
暫くしてテレビを観ていた息子が歩きだした途端、また床下から同じ音がしたのです。そして私が歩くと、私が歩く方向に向かって床下が鳴りました。
どうやら下の住人が、私達が歩く度に天井を突き上げてきているらしいのです。確かに足音は響くかも知れませんが、普通に歩いているだけであって走り回っている訳ではありません。
気を付けて歩く様にしていましたが、翌日もその突き上げ音が続き、しかも音が大きくなってきているのです。夜に主人が帰宅した時にも同じくドンドン音がしたので、主人に階下に行って貰いました。
階下の住人は若い女の人で、何度もノックしても決してドアを開けずに「一体どれだけ我慢したと思ってるんですか!」とわめき散らすばかりでした。これでは仕方がないと思い、不動産と大家に事情を話したところ、「当事者同士で解決して下さい」と言われてしまったのです。
ある日息子と散歩していたところ、郵便受けの前でその女性と出くわしてしまいました。彼女は何も知らずにニコニコと近づく息子に対して激しい怒りの表情を浮かべるので、恐怖を感じました。
「息子に何かあってからでは遅い」と思い、それから一週間で私達は住みなれた町から引っ越すことにしたのです。
自分たちとしては絨毯を買ったり靴下を履いたりして注意して歩いていたつもりですが、引っ越す日までドンドンする音は続きました。生きた心地がしなかったので、早く引っ越して良かったと思っています。