私があったストーカーは実に知的でした。ストーカーというと気持ち悪い笑みを浮かべ、強引で大胆な行動をする人が多いのですが、私の場わいには巧妙すぎて捕まえられないような行動に呆れるストーカーだったのです。
見た目は紺のスーツで、髪もすっきりとした髪型で、とてもおしゃれなストーカーでした。時計はブランドの素敵な時計をし、シャツもバックもブランドもののおしゃれなものを持っていました。
どう見ても、ストーカーには見えませんでした。頭も良さそうだし、いいとこのおぼっちゃんという感じでした。そんな男性は、いつも私の後ろをつけて来るのです。それも一定の距離を保ちながらです。
おかしいなと思って店に立ち寄れば、その間は外で待っています。店から出れば、後ろから普通に歩いて追って来ます。お店に入ってから少し経ったら入って来て、私の少し離れた少し後ろに座ります。座っている時にはパソコンを開き、仕事をやっているようでした。
どう見てもビジネスマンで、ストーカーをしているようには見えません。顔はいつも冷静です。顔を向ければ本で顔を隠し、近寄ればサッと歩いて行って隠れてしまいます。
危害らしい危害は1度も無く、いつも離れた場所からさりげなくこちらを見ている感じでした。触られることもなく、何かを家に送られたこともありません。いつも静かに、少し離れた場所から見ているだけなのです。
家の近くにまでついて来たことがありました。何をするのかとビクビクでしたが、目が合った瞬間、手を振られました。でも、私が行く所に必ずといっていいほど、現れるのが怖かったです。
どこで行き先を知ったのか知りませんが、行く先々で会うのです。何を使って調べているのかと思うと、寝付けませんでした。